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腰部について
COLUMN
 
Vol.09
骨粗しょう症について
これまでは、身体の使い方や動き方の癖により生じる腰痛について紹介してきました。
上記以外で腰痛の原因となりうるものが、骨粗しょう症です。

◎骨粗しょう症とは
骨粗しょう症の原因としては、遺伝や加齢、閉経など多くの因子があり、生活習慣やライフスタイルとも密接に関連しています。

骨粗しょう症になると、骨密度が低下して骨がスカスカになり、わずかな外力が加わっただけで骨折してしまいます。

「年を取ったら多少、骨が弱っていても仕方ないよね。」と軽く考えている方が多く、骨粗しょう症の予防や改善に積極的に取り組んでいる人が少ないことは、大変深刻な状況だと思います。
骨粗しょう症では、転倒をきっかけに股関節や肩、手首、背骨の骨折が起こりやすくなります。

◎いつの間にか骨折
背骨の骨折は、尻もちをついたりする以外にも、椅子に座る衝撃が強かったりなど、気づかないうちに起こしていることもあります。

知らぬ間に骨折し、背骨がつぶれ、腰が曲がってしまうと二度と元には戻りません。

この骨折が起因となり、慢性的な腰、背中周りの痛みを生じやすくなります。

◎骨粗しょう症の検査
健康な骨のために何よりも大切な取り組みとして、まずはご自身の骨の状態(骨量・骨密度が減少しているかどうか)をよく知っておくことが大切です。

そのため、閉経に伴うホルモンバランスの乱れが生じる、50歳を超えた女性の方には、骨粗しょう症の検査を受けていただくことを強くお勧めします。

骨粗しょう症かどうかを調べるには、特殊な機械を用いた骨密度の測定、そして血液検査、尿検査などを行います。
骨密度は背骨や、大腿骨、橈骨(手首の部分)、手指等を用いて測定します。

◎治療
骨粗しょう症と診断された場合の治療は、薬物療法、栄養管理、運動療法となります。

薬には、骨の破壊・吸収を抑えるものや、 骨の形成を促すものがあります。
それに加えて、カルシウム剤やビタミンD、ビタミンKの摂取が大切です。
さらに、日常生活の中で運動をしていくことで、「骨を鍛える」ことが非常に大切になります。

これらは保険診療で受けていただくことが可能です。
整形外科などで検査を受けられますので、まずは一度受診して、ご自分の骨の状態を確認するようにしてください。

その上で、もし骨粗しょう症と診断されたならば、一日も早く、適切な治療をお受けいただきたいと思います。
 
Vol.08
体幹の安定について
前回は腰痛に効果的なストレッチを紹介しました。
拡大した可動域を動作に結び付ける上で、次は腹筋を中心とした体幹の安定が必要となってきます。
今回は体幹の安定について、セルフチェックとエクササイズを紹介したいと思います。

突然ですが、皆さんは腹筋と聞いてどのようなイメージがありますか?

多くの方は、鍛えられ、割れた腹筋を想像するのではないでしょうか。
割れた腹筋は『腹直筋(ふくちょくきん)』という筋肉で、身体の表面にある腹筋です。

腰痛予防や動作に重要なのは表面の腹直筋ではなく、その深層に位置する『腹横筋(ふくおうきん)』です。

腹横筋はコルセット筋とも呼ばれ、胸腰筋膜(きょうようきんまく)という筋膜を介して腰椎や骨盤に着いているので、
力が入ることによって、腰を安定させる役割を担っています。

その腹横筋が、動作の際に適切なタイミングで働くことが重要です。
さっそく体幹の安定をチェックしてみましょう!
※痛みが出る場合は中止してください

◎四つ這いダイアゴナル(対角線)
図のように四つ這い姿勢をとります。
肩の真下に手を着き、股関節の真下に膝を着きます。
床面を見て、頭からお尻を一直線になるような姿勢を取ります。
上の図の姿勢から
①右手と左脚を伸ばします
※肩や股関節に痛みのある方は無理をしないでください
②その姿勢をキープします
③反対の手脚も同様に行います
この時に
・痛みを伴う
・支えている肘が曲がってしまう
・伸ばした手脚が床に着いてしまう
・5 秒間姿勢を保持できない
・肩、骨盤が傾いてしまう

この項目に当てはまる方は、次に紹介するエクササイズに無理なく段階的に取り組んでみましょう。

◎仰向け腹式呼吸
仰向けで股関節と膝を 90°に曲げます。
・腰は反らさないように注意しましょう
・膝の間にボールやタオルを丸めて挟みます
・両腕は天井に向けてまっすぐ伸ばした状態にします
・2秒吸って、4秒吐くことを目安に行いましょう
この姿勢で腹式呼吸を繰り返します。
息を吸い込んだ時にお腹が全方向に広がるようにしましょう。

過去の記事にも呼吸方法について記載がありますので、“vol.4の腹式呼吸のチェックポイント”をご参照ください。

続いては少し難易度が高い練習です。
腹式呼吸練習がマスターできてから進みましょう。

◎回旋トレーニング
先ほど紹介した腹式呼吸の姿勢から、腕を頭の後ろに組みます。

そこから上げている脚を左右にゆっくりと動かします。
まずは左右に 5 回ずつから始めます
・この時に息は止めず、腰を反りすぎないように注意しましょう
・息は吐きながら、4秒間吐く間に、右あるいは左に倒した後に真ん中に戻しましょう
・ベッドから肩甲骨が離れないようにしましょう



今回は体幹の安定についてセルフチェックとエクササイズを紹介しました。
くれぐれも無理のないように取り組んでみてください。

もし、セルフチェックやエクササイズを実施した際に痛みや他に症状がある場合は、 当院をはじめ、お早めに医療機関へ受診されることをお勧めします。
 
Vol.07
腰痛に効果的なセルフストレッチ
前回までは腰痛についての解説をしましたが、今回は腰痛に効果的なセルフストレッチをご紹介します。
腰痛は股関節の動きや、胸周りの動きをよくすることで軽減、消失する傾向があります。
以下のストレッチを試してみましょう。

①腿(もも)裏のストレッチ
図のように仰向けになり、両手で太ももを抱えた状態で、膝を伸ばします。
※この時、腰を曲げたり反ったりしないように気を付けましょう。
抱えた脚の腿裏が突っ張ってきたらその位置で20秒から30秒保持しましょう。
また、悪い例のように頭側から見たときに脚が内側に入らないようにしっかり両手で固定しましょう。



②胸周りのストレッチ
図のように横向きで寝た状態で、両腿の股関節を90度曲げます。
次に下の手(図では右手)で両腿を押さえ、上の手(図では左手)を頭の後ろに添えた状態で身体を反対側に捻っていきます。
無理のない範囲で最大まで捻る動きを反復します。痛みがある場合、股関節を深く曲げて角度を調節しましょう。
※この時、呼吸は止めず、息を吐きながら動作を行いましょう。

この動作を10回前後繰り返しましょう。


③腿前のストレッチ
図のように脚を前後に開いた片膝立ちの状態で、上体を前方に移動させます。
この時、腰が反らないように注意しましょう。

腰が反り、痛みが出てしまう方は、両手を重ね前側の膝を上から押す、あるいは、ストレッチポール(机や椅子の背もたれなどでも大丈夫です) の上に手を置き、上から押すことで、腰が反るのを防ぎます。

後ろ脚の股関節の前側や腿前が張ってきたら、その状態を20秒~30秒保持しましょう。


症状の部位や程度は人それぞれ異なりますので、上記のストレッチ、エクササイズが皆様に当てはまるわけではありません。
症状が改善しない場合は、お早めに医療機関へ受診されることをお勧めします。
 
Vol.06
腰を反ることによる痛み
今回は腰を反ることによって痛みの出る「腰椎分離症・すべり症」「脊柱管狭窄症」という2つの疾患について説明していきたいと思います。

①腰椎分離症・すべり症とは
「腰椎分離症」は発育期である中学生頃に、腰の前後屈・回旋やジャンプを繰り返し行うことで、腰椎の後ろ部分に亀裂が入る疲労骨折です。
その後、徐々に分離した腰椎が前後にずれてしまう「分離すべり症」に進行していく場合があり、脊柱管狭窄症の原因ともなります。
分離症は10歳代で起こりますが、壮年期では椎間板の変形による「変性すべり症」が起こることもあります。
変性すべり症は閉経後の女性に多く、女性ホルモンの減少による骨粗鬆症によって骨が体重を支えきれなくなることも原因のひとつとされています。

◎症状
腰を反ることにより、腰の痛みが強く出現します。
すべり症では神経が圧迫され、お尻や太腿の痛みやしびれなどの神経症状がみられることがあります。

◎治療
保存療法が第一に選択されます。
コルセット装着、鎮痛剤の投与や神経ブロックなどを行い、スポーツ活動は中止し、腰を反ってしまう要因を運動療法にて修正していきます。
症状が続くような場合は、神経の圧迫を除去する手術や固定術が行われます。


②脊柱管狭窄症とは
加齢、労働などにより背骨や椎間板が変形し、脊髄の神経が通る管(脊柱管)を圧迫することで、腰や脚に痛みや痺れが出ます。

◎症状
安静時の症状はあまり強くありません。
腰を反ることで脊柱管は狭くなるので、立っている姿勢や歩くときに腰が反ると痛みや痺れが出ます。
前かがみになったり、腰かけたりすることで症状は軽減されることがあります。
進行すると、下肢の筋力低下や、排尿・排便障害を認めることもあります。


◎治療
保存療法としてコルセット装着、神経ブロックや神経の血行を良くする薬などを投薬し、症状が続くような場合は、神経の圧迫を除去する手術や固定術が行われます。
運動療法では脊柱管の圧迫を軽減するように、腰を反ってしまう要因などを改善していきます。


腰を反らないためには
過去のコラム記事(Vol.4:腰は安定させたい場所!)でもお伝えした通り、腰椎は安定させ、胸周り・股関節が大きく動く必要があります。
腰を反らないためには、肩甲骨を動かせることや胸椎を反れること、骨盤が前傾せずに脚が後ろへ動くことなどが必要です。
下のチェックポイントで一緒にチェックしてみましょう。

症状の部位や程度は人それぞれになりますので、このストレッチが皆様に当てはまるわけではありません。
症状の増悪を防ぐためにも、なるべく早く医療機関への受診をされることをお勧めします。
 
Vol.05
腰を曲げることによる痛み
前回は腰やその周辺の構造について説明しましたが、今回は「筋・筋膜性腰痛症 、腰椎椎間板ヘルニア」の2つについて説明していきたいと思います。

①筋・筋膜性腰痛症とは
悪い姿勢や無理な体勢での動作は、腰周りの筋肉や筋膜へ過剰なストレスを与えます。
この筋肉や筋膜が過度に緊張したり、損傷することで痛みが出現します。
筋・筋膜性腰痛症では、レントゲン上での骨の異常はなく、痺れや感覚障害などの症状はありません。

◎筋・筋膜性腰痛の症状
症状の特徴は、“椅子からの立ち上がり動作”や、“前に屈む動作”の際に、腰回りの筋肉や筋膜に過剰なストレスがかかり、鋭い痛みが生じることです。
これらの動作の詳細については、過去のコラム記事をご参照ください。(立ち上がり動作:Vol.3、前屈動作:Vol.4)

②腰椎椎間板ヘルニアとは
背骨を繋ぐ椎間板は、クッションの役割をしており、腰を曲げると椎間板には圧縮のストレスがかかります。捻る動作が加わると、より一層圧縮のストレスを受けます。
椎間板が圧縮され、突出することで神経を圧迫し、痛みや痺れなどの感覚障害、筋力低下などが現れます。
加齢などで徐々に椎間板が変性し、症状が現れることもあります。
悪い姿勢や無理な体勢で動作をする事で、発症のリスクが高まります。

◎腰椎椎間板ヘルニアの症状
腰痛、下半身の痛みや痺れ、足の筋力低下などが起こります。
足に力が入りにくくなり、歩行中につまづきやすくなることもあります。

◎腰椎椎間板ヘルニアの治療
神経への圧迫があっても、症状や程度は個人差があり様々です。
痛みが強い時期は安静、コルセット着用、投薬、神経ブロックを行いますが、この時期から運動療法も開始して行く事が必要となります。

コルセットの着用は、腹筋の働きを補助し、腰への負担を軽減させることができます。
ご年齢や症状の程度にあったものを選択し、腰回りを安定させていきます。
また運動療法では、股関節の運動や、動き方の練習なども行い、再発の予防にも取り組みます。

腹筋と背筋の関係
腰は、“腹筋”と“背筋”が筋膜によって繋がり、連動して働く事で背骨を支えています。
しかし、腹筋の筋力が低下すると、姿勢を維持できずに腰が曲がり、骨盤が後傾した悪い姿勢が習慣となります。
この姿勢では、背筋が引き伸ばされ、力を発揮しにくい状態となるので、良い姿勢を保つことも難しくなります。

股関節と体幹の関係
腰は、過剰な負担を避け安定させる必要があります。
しかし、股関節が硬いと代わりに腰を動かしてしまうため、安定を確保することができません。
そのため、股関節の柔らかさが必要となってきます。

特に、股関節周りの筋肉は日頃から定期的に運動をしていない場合は硬くなりやすい部分です。
下のチェックポイントで股関節の柔らかさを確認してみてください。

股関節のチェックポイント
痛みが出る場合はすぐに中止して下さい。
仰向けで寝て脚を伸ばします。片脚を伸ばしたまま可能な限り持ち上げます。
この時、腰が反ったり、床につけている膝が曲がってこないように気を付けましょう。
脚が十分(70°)に上がらなかったり、上げた脚の膝が曲がってくるようであれば、太ももの裏の硬さや、腹筋の筋力が低下しているサインです。

股関節のセルフストレッチ
痛みが出る場合はすぐに中止して下さい。
股関節から曲げる事が出来ているかが、重要なポイントとなります。
症状が出ていない方でもストレッチを行い、腰痛を予防しましょう。

症状の部位や程度は人それぞれになりますので、このストレッチが皆様に当てはまるわけではありません。
症状の増悪を防ぐためにも、なるべくお早めに医療機関へ受診されることをお勧めします。
 
Vol.04
腰痛について
腰痛は、“約80%の方が生涯に一度は経験する症状”といわれるほど身近なものです。
皆様もこれまでに一度は、腰の痛みに悩まされた経験があるかと思います。

腰痛の原因・症状は非常に複雑なものなので、何度も繰り返してしまわれる方もいるのではないでしょうか。

腰痛とは?
腰痛の定義としては確立されたものはありません。
腰部の筋肉・椎間関節・椎間板など原因の明らかな症状もあれば、心理社会的因子による非特異的腰痛といわれるものもあります。
急に痛くなる急性腰痛や、3か月以上継続する慢性腰痛もあり、病態は複雑です。
これらの中で特に多い疾患に関しては、次回以降で掲載します。

今回は、腰部の仕組み・機能や役割についてです。

腰部の仕組み
腰椎は5個の骨があり、その中でも3個目が頂点となるように前方へ弯曲しています。脊柱の中でも曲げ伸ばしの動きは大きいですが、捻る動きは小さいのが特徴です。
脊柱の間には椎間板があり、クッションの役割を担っています。

脊柱全体からみた腰椎
脊柱は頸椎・胸椎・腰椎・仙骨・尾骨で構成されます。
脊柱の弯曲は相互依存関係にあります。ある部分の弯曲が変化すると他のすべての部分の弯曲に変化が生じます。
腰椎周辺に問題が生じてしまうということは、その上下の“胸椎”や仙骨を含む“骨盤”の問題により被害を受けている可能性があります。

腰は安定させたい場所!
腰部は、肋骨などがなく骨での支持性が低いので、他の部位よりもさらに筋での安定が求められています。
筋が硬くなると、身体の動きが悪くなってしまうため、代わりに胸郭・股関節などが大きく動く必要があります。(※股関節は骨盤と大腿骨で構成されます)

胸郭や股関節など、大きく動いてほしい関節が動かなくなると、腰椎が代償的に動くことで腰椎本来の機能が低下し、その結果として痛みが生じることになります。

動きのパターン
例えば前かがみをする際、正しくできていれば、股関節が曲がるところから始まります。
股関節が限界まで曲がり、そこから徐々に背中が弯曲して脊柱全体が滑らかなカーブを描くのが理想となります。
爪先に手が届かない人のほとんどが股関節からではなく、背中を丸める動きから動作が開始されていることが多いです。

このような人は前屈動作に必要不可欠な腰部の安定が低下しており、動作の始めに丸める動きが出てしまうため、それが過剰な動きとなり周りの筋や椎間板などへの負担が増大します。

この腰部の安定を補うため、太ももの裏の筋(ハムストリングス)など股関節周囲の筋は緊張し硬くなります。
起立動作や、床のものを拾う動作など、日常生活の中で繰り返すことで、股関節の可動範囲が徐々に制限されていき、本来の機能を発揮できなくなります。

正しい前屈のcheck point
・お尻が後方へ引けている
・背骨がなだらかな弯曲を描いている。
左の写真ではお尻の後方移動が少なく、腰のあたりで急激に弯曲しています。

腰部を安定させるためには…?
腰部を安定させるためには、深層にある腹筋の働きが必要不可欠であり、呼吸や姿勢のコントロールを行う上でも重要な部分となります。
呼吸と姿勢には密接な関係があります。
つまり、正しい呼吸を行うためには、正しい姿勢にする必要があり、その逆も言えます。

呼吸には大きく2つに分けられます。
肩を上下に動かして行う胸式呼吸と、お腹を膨らませて行う腹式呼吸があります。
腹式呼吸では深層の腹筋群の働きが必要になります。この呼吸をすることで、腰部を安定させ、姿勢をコントロールすることが可能となります。

腹式呼吸のチェックポイント
仰向けに寝て、膝を曲げます。手は片方を胸に、もう片方をおへその下に置きます。
その状態で呼吸をし、胸とお腹の動き方を感じてください。胸が先に動いている場合は胸式呼吸です。腹式呼吸はおへその下に置いた手から動く、もしくは両方が同時に動く場合です。
呼吸は姿勢の影響を受けるため、寝ている状態ではできていても、座っていたり、立った状態でも必ずできているとは限りません。最初は仰向けからスタートし、うつ伏せ、座位、立位と徐々に姿勢を変えながら練習してみてください。

もし、腰痛や他の部位でもお悩み等がございましたら、当院に一度ご相談ください。
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