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膝関節について
COLUMN
Vol.12
膝関節周囲の疼痛~腸脛靱帯炎・鵞足炎について~
膝関節の痛みには関節自体の痛みと関節以外の痛みの2種類に分けられます。


関節自体の痛みは関節が狭くなり関節軟骨がすり減ることで出現します。
関節以外には、半月板や靭帯損傷、筋肉が引き伸ばされて発生する痛みがあります。

今回は骨盤からの影響により、膝関節の外側または内側の筋肉が引き伸ばされて圧迫されることで発生する痛みについてお話しします。


①外側の痛み~腸脛靱帯炎(ちょうけいじんたいえん)について~

◎原因

腸脛靱帯は靭帯という名称が付いていますが実際には筋肉の表面を覆っている『筋膜』のような構造をしており、筋肉の動きを滑らかにする働きがあります。

写真のように骨盤が後ろに傾いたり、一方の骨盤が後ろに引けたりすると膝が外側を向きやすくなります。

このような姿勢により腸脛靱帯が引き伸ばされ、大腿骨の膨らんだ部分(大腿骨外側上顆)との接触面積を増やしてしまい摩擦が起こりやすくなります。
このように腸脛靭帯に負担がかかりやすい状態の中でランニングや自転車など膝の曲げ伸ばしを多く行う動作を繰り返すことで、腸脛靱帯炎が発症します。

◎症状

症状としては歩行時や階段の昇り降りの際に膝の外側に痛みを伴います。
これらの症状は関節自体が痛みの原因となっている場合にもみられるため、鑑別方法として膝関節の外側(大腿骨外側上顆の部分)を押してみましょう。

この部分を押して痛みがある場合は腸脛靱帯炎が疑われます。

②内側の痛み~鵞足炎(がそくえん)について~

◎原因

鵞足とは、膝関節の内側を覆う縫工筋・薄筋・半腱様筋という筋肉で構成される部分です。

写真のように骨盤が前に傾いたり、一方の骨盤が前に出たりすると膝が内側を向きやすくなります。

このような姿勢は鵞足を引き伸ばしてしまう原因となり、脛骨(膝下の骨)の内側との接触面積を増やしてしまうため摩擦が起こりやすくなります。

このように負担がかかりやすい状態で長距離歩行や自転車など繰り返し膝の曲げ伸ばしを行うことで鵞足炎が発症します。


◎症状

症状としては歩行時や階段の昇り降りの際に膝の内側に痛みを伴います。

腸脛靱帯炎同様に、これらの症状は関節自体が痛みの原因となっている可能性があるため、鑑別のため鵞足の部分を押してみましょう。

この部分を押して痛みが出る場合は鵞足炎が疑われます。


以上のように膝の痛みは骨盤からの影響により別々の場所に痛みが出現する場合があります。これらの疾患は一例であり、また必ずしも症状が一致するとは限りません。

そのため膝関節に違和感や痛みなどのお悩みがある場合はお近くの整形外科の受診をお勧めします。

これらを踏まえ、次回は膝関節の痛みを減らす体操をお伝えしたいと思います。

Vol.11
膝関節周囲の疼痛〜骨盤・股関節との関連性について〜
今回は変形性膝関節症の要因のひとつとして考えられる、骨盤・股関節からの影響についてお伝えします。
前回、変形性膝関節症の痛みは骨の表面の関節軟骨がすり減ることによって生じるとお話ししましたが、どのような状態が関節軟骨をすり減らせてしまうのか大まかに2通り分けて下図にてご説明します。

膝は大腿骨(上側の骨)と脛骨(下側の骨)の角度によって影響を受け、大腿骨の角度は骨盤の傾きによって変化します。

①骨盤の前後の傾きと膝への関係
腰が反り、骨盤が前に傾いている状態では膝が内側に向きます(X脚)。

腰が丸まり、骨盤が後ろに傾いている状態では膝が外側に向きます(O脚)。



②骨盤の前方回旋・後方回旋と膝への関係
一方の骨盤が前に出ている状態(前方回旋)では、膝が内側に向きます(X脚)。
一方の骨盤が後ろに引けている状態(後方回旋)では、膝が外側に向きます(O脚)。
このような骨盤の動きは歩行中に見られることが多く、歩くこと自体が膝に悪影響を与えているとも言えます。

以上のように、膝の痛みは腰や骨盤が影響を与えていることも多く、リハビリでは骨盤や股関節の動きも併せて改善していくことが大切だと考えています。
また、骨盤・股関節の動きは腰痛とも大きく関係しているため、膝痛と腰痛を合併している方も多くみられます。

腰や膝に痛みのある方は、以前のコラム(Vol.5・6)で紹介しました腰痛のセルフチェックから行ってみましょう。
痛みが長く続いている方は、お早めに当院もしくはお近くの医療機関での受診をお勧めいたします。
 
Vol.10
変形性膝関節症について
2020年は年間を通して、膝関節の痛みについてご紹介致します。
今回は中高年から高齢者によく見られる膝関節の病気について皆様に知っていただき、後にセルフケアの方法までご紹介致します。

◎変形性膝関節症とは
変形性膝関節症は、骨の表面の関節軟骨が様々な原因ですり減った結果、痛みや腫れが発生し、進行すると関節の変形が生じる病気です。
中高年に発生しやすいのが特徴です。
ここで、変形性膝関節症の患者様からよく耳にする症状の特徴を説明します。

1.初期症状=長時間座っていて動き始める時、膝が固くなって歩きにくく痛い。
      朝起きて膝を動かす時、固まっている感じがする。

2.中期症状=歩く時、階段を上り下りする時に膝に体重がかかると痛くて踏ん張れない。

3.末期症状=膝が完全に真っ直ぐ伸びなくなった。
      真っ直ぐ立っても左右の膝がくっつかなくなった。

このように初期では膝のこわばりの症状を主体として、中期では痛み、末期では自分でも自覚するような可動域制限やO脚(がに股)という流れで症状が進行していきます。

◎どうして変形性膝関節症が起こるのか?
変形性膝関節症の発生には様々な原因があります。

① 加齢
② 膝関節の筋肉である大腿四頭筋の筋力低下や膝関節と隣接する股関節や足関節の可動域制限・筋力低下
③ 片脚で立てなくなるようなバランス機能の低下
④ 膝の骨折や靭帯損傷、半月板損傷のような膝の怪我の後遺症

これらの原因はほんの一部分ですが、④のように一度のきっかけで起こる変形性膝関節症は少ないです。

②、③のように膝に対する負担が蓄積し、徐々に変形が進行することが特徴です。

◎どれくらい膝関節が変形しているか?
単純レントゲン撮影でどれくらい膝関節が変形しているのか把握することができます。

Stage別に変形の程度を以下に紹介します。
Stageが上がるほど重症になり、膝の変形の程度は悪化しています。

Stage4の人は症状が取れにくく、痛みも伴って日常生活に支障が出る場合は手術になる場合もあります。

◎どうやって膝関節の痛みを治していくのか?
手術以外の方法で治していくことを保存療法といいます。ここで当院が行っている保存療法の方法を紹介します。

(ア) 運動療法:筋力強化、バランス練習、ストレッチングを行い、膝の負担を減らす。
(イ) 物理療法:超音波治療や電気治療により痛みを緩和する。
(ウ) 薬物療法:鎮痛剤や神経系に作用する薬を飲み、痛みを緩和する。
(エ) 注射治療:ヒアルロン酸注射などを行うことで関節を保護する。
(オ) 中敷き(インソール):足底面から介入し、膝にかかる負担を減らし痛みを緩和する。
これらの保存療法を医師と理学療法士で相談しながら行っていきます。

Stage4のような人はリハビリテーションを色々と試みるも十分な効果がなく、痛くて歩けない場合や階段の上り下りが出来ない場合に手術療法を検討します。

手術の方法は主に以下の3種類です。
A) 関節鏡による手術法(関節軟骨や半月板を整えたり、切除したりする手術)
B) 高位脛骨骨切り術(膝のO脚変形を修正する手術)
C) 人工膝関節置換術(関節軟骨と骨の一部を切除し、金属とプラスチックに変える手術)

これらの説明を読んで、自分の膝に当てはまる項目がある場合や日常生活でお困りの方がいたら、当院もしくはお近くの医療機関に受診することをお勧めします。
次回は、変形性膝関節症が発生するメカニズムの一つとなっている下半身の運動のつながりを紹介します。
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