Vol.02
足関節(足首)のストレッチについて
足首のストレッチと言うと脹脛(フクラハギ)のストレッチを思い浮かべる方も多いと思います。今回は脹脛のストレッチの際のポイントをお話ししたいと思います。
脹脛を伸ばす際には、足関節を背屈(反らす)させる事で、脹脛の後面にある腓腹筋・ヒラメ筋・アキレス腱などのストレッチが出来ます。
足関節を背屈させる際、距骨という骨が後ろに滑り、下腿が前傾することで背屈運動が生じます。患者様から「しゃがむ時に足首の前が詰まって痛い!!しゃがめない!!」という訴えをよく伺います。そのような訴えを持った方は、この距骨の後ろへの滑りが上手く行なえず、問題になっている事が多いです。
よって、脹脛を伸ばす際には身体をしっかりと前傾させ膝を伸ばし、つま先に体重が乗った状態を作り、そのまま踵を押し込むようにして足首を反らしてください。踵に体重が乗ってしまうと、距骨が後ろへ滑らず下腿も前傾できなくなり足首の前方で骨同士が詰まってしまいます。
また、しっかりと足関節を背屈させた状態で足趾を握る事で、足の裏にある足底腱膜やアキレス腱と下腿骨の間にある脂肪体等の軟部組織を動かすこともできます。
「足首が硬い!!」とお悩みの方は是非コツコツと試してください。
Vol.01
足関節(足首)について
足関節(足首)は足部の距骨と下腿の脛骨と腓骨が靱帯でつながれ関節を構成しています。
足関節は螺旋(ラセン)関節に分類されます。螺旋関節はドアの付け根の様な蝶番の構造に加え、捻り運動ができる構造をしています。実際には底屈・背屈(下げる・反る)という動きに加え、内返し・外返しと言った捻りの運動が可能です。特に、底屈(足部を下げて)位での内反(内返し)方向へ一番大きく“緩い”です。その為、足首の外側には靱帯が多く有り、緩さを守っているのです。ハイヒールを履いた女性が捻挫をしやすいのもこの為と思われます。
足関節は緩さを補うために、様々な靭帯に囲まれています。写真の緑の部分が靭帯です。
靱帯という線維組織は多少の伸縮性があるため、外力が加わると僅かに伸びます。しかし、更に強い外力が加わると損傷を起こします。筋肉はストレッチ等の刺激が繰り返し加わると筋線維が増え伸びやすくなりますが、靱帯ではそのような変化は起こりません。靱帯は筋肉と違って伸縮性が乏しい組織なのです。
患者さんの話を聴いていると、ストレッチと言うと「足首をグルグル回す。」とよく聞きます。足首に対して「足首をグルグル回す」というストレッチは本当に正しいことなのでしょうか?力の加え方が少しでも強くなると“靱帯損傷”なんて事になるかもしれません!無理なストレッチはやめましょう。関節を不安定にしているだけかもしれませんよ。